あん

もともと、あんとは米や麦で作った食べ物に、穴を空けてそのなかに詰めるもの全般を指す。つまり、肉でも豆でも穴に満たす具はすべてあん(餡)という。現 在では主に小豆を煮詰めた豆沙餡(小豆餡)を指すことが多く、後に他の豆などを煮た物もあんと呼ばれるようになった。餡の味付けは、古くは塩で味付けした塩餡が一般的であったが、近世以降砂糖の庶民への普及とともに砂糖餡が一般化した。さらに、餅の上にかけるものも餡と呼ばれるようになり、あんかけ(調理手法の餡の欄を参照)などに使うでん粉に水分を加えて加熱・糊化させたものも「葛餡」などというように餡という言葉で呼ばれるようになった。逆に、餡と同じく菓子の中に包み込まれる具であっても、ジャム・クリーム・チョコレートなど西洋風のものは餡とは呼ばれず、別のものと捉えられている。